マネジャー応援通信 No5

<BHCCマネジャー応援通信(事務局)>です。

今回、皆さんへ紹介するのは『非合理な職場』という本です。
著者は20年近くビジネスモデル、組織モデル、人材マネジメントモデルを 一体としたコンサルティング経験のある永田稔です。

本の感想に入る前に、まず一つのストーリーを話します。

欧米の経営戦略大家スマントラ・ゴシャールが、
ある大物経営者へインタビューをする時のことでした。
現場には最初、張り詰めた空気が流れていましたが、
スマントラがインタビューを始めると空気は一変しました。
そして、和やかなムードで取材は終わりました。

その帰り道、同席したアシスタントは、「一体どのようにしたら、 あのように場の空気を変えることができるのか」と尋ねました。

スマントラの答はシンプルです。
「それは『好奇心とリスペクト』だよ。」

好奇心もリスペクトも、相手への共感につながるものです。
彼はロジックに基づく「戦略論」の大家でしたが、同時に、
その戦略の背後にある「心理」にも踏み込んでいたのです。

仕事場面にかかわらず、生活場面においても、
人間の合理的で論理的な一面と、非合理な心理的な一面の両面をつかむことで、 人を動かすことが可能になります。

前回のメルマガでは、人に誤解されやすい論理的思考の罠を3つ取り上げました。

1、論理的思考力とプレゼン能力・交渉力は違います。
2、「論理的である」とは「遠慮がない」という意味ではありません。
3、論理的思考を身につけても、仕事が早くなるとは限りません。

今回で紹介する本の中で筆者は、
論理的思考の罠を下記のように述べています。

1、他の人も事実やロジックを正しく理解しているはず。
2、自分はロジカルに考えいてるので正しいはず。
3、自分の役割は正しいと指示を出し続けること。
4、他の人や組織はロジックを理解すれば正しい方向に動くはず。

などです。これらは上記の現象を心理的に解釈した言い方だと言えよう。

論理的問題解決力のみをマスターした人(著者はこのような人を
ロジカルシンガーを呼んでいる)は、自らの思考や論理にこだわりすぎ、 人間や組織の持つ非合理的な面を軽視しがちであり、
上記のような「思い込み」に陥行ってしまうと指摘しています。

本書『非合理な職場』では、
人間や組織が持つ非合理性がどのように表れるのか、
その対応はどうすべきなのかを、
実例と学問的な知識、ノウハウを紹介しています。

弊社のメルマガを読んでいる皆さんの多くは管理層の方です。
読者本人の自己省察にとってはもちろん、
職場で上記のような思い込みを持っている人とどう付き合うべきかに対しても、 啓発的なアイディアの得られる一冊だと思います。

管理の現場から管理の非合理性を言えば、
日本の経営学者神戸大学金井壽宏教授の言葉を借りれば、
「管理は本来人間くさいものです」ということになるでしょうか。

経営管理とは、
一般に「他の人びとを通じて、ことを成り遂げる」と定義されています。

自分も人間、他の人びとも人間であることを考えると、
人間をどのように捉えるかが、管理のあり方に大きく影響を与えます。

そして、おそらくこの非合理性の問題は、海外進出している日本企業にとって、 ますます重要になると思います。

実際に多文化、多言語を持つ人々と仕事をする時に、
「論理」、つまり「合理性」だけでは、人を説得できないことがあるでしょう。

この場合、普段から相手の文化や相手の感情を把握し、リスペクトしておくことが、
「論理を通す」ために非常に大事なことではないかと思います。

★次回予告★
次回では、この人間の非合理性を「EQ」の視点で説明し、
基本を押さえる教科書として保存しておきたい一冊の本を紹介します。

お楽しみに!

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★筆者プロフィール★
邵欣欣  BHCC コンサルタント
天津外国語大学卒、神戸大学大学院人間発達環境学研究科修士。
専攻分野は「大人の学び」。
中国の油圧ショベルのトップメーカー福田雷沃重工股份有限公司の 日本法人ロボルジャパン株式会社に入社。
その後北京に戻り、BHCCに入社。
現在は、大学院時代の専門知識を活かし、BHCCのコンサルタントとして活躍中。