中国赴任(米国企業の悩み)

「日本企業の海外子会社は日本人赴任者が多く人の現地化が進んでいない」と問題を認識している人は多い。

経営者もそのように認識している。

米国企業と欧州企業、日本企業の海外現地法人を調査によれば、日本企業は欧米企業に比べて日本人(本国人)の現地派遣比率が高く、経営幹部層のほとんどは日本人であるとの結果であった。

これはまずい!

追いつけ追い越せの日本にとって、米国(欧州/先進国)と違うのはまずい!という気持ちが強かったと思われる。

さて、これらの事実は昭和の時代からずっと指摘されていたにもかかわらず、その後の現在に至るまでその事実に大きな変化はない。

となれば、日本企業において日本人派遣者が多く派遣されていることに何らかの合理性が存在するのではないか、と考えるべきだろう。(このことについては後日述べる)

 

視点を変えて、

<米国企業>の海外赴任には、どのような問題があるだろうか?

実は、米国企業の海外赴任に関する問題は、日本とは全く逆である。それは米国本国からの海外赴任者が少ないことにに起因している。

少し古いデータであるが、J.S.Black(※)らは、次のように示している。

米国の海外派遣の10-45%は失敗している。それは、日本や欧州の倍以上である。赴任の中断者の多発はもとより、それらに関わるコストを計算すると(引っ越し費用、中断コスト、間接費など)、財務的成果は相当のマイナスである。

まずは、そもそも派遣者に関わる投資に、成果が見合っていないことに大きな問題を感じている。

また、海外赴任者の中に意欲喪失している者は全体の30-50%が該当しているという。さらにうまく赴任が満了しても、帰任後1年以内に退職する人は約20%発生し、その転職先がライバルとなれば企業にとってはさらなる損出を生む。

これら意欲喪失者や帰任後の離職は、海外赴任者のキャリアの破綻の可能性を周囲の従業員にイメージさせてしまい、将来の海外勤務に向かう意欲を失わせてしまう。現地のオペレーションはちろんだ、将来グローバル経営を担う人材育成が機能しなくなり、まずます海外子会社の経営がうまくいかなくなるという悪循環に陥っているというのだ。

先の調査結果は意図して派遣者を少なくしている側面ももちろんある。他方で、企業と派遣される米国人の両者にとって、海外赴任は互いに「投資」に見合わないことになっている。しかたがなので、相変わらず現地の人に任せるしかない。したがって、本国からの赴任者は少ない=現地人化率が高い、と言えるのだ。

 

赴任を予定している皆さん。

この事実をどのように受けとめますか?

 

参考文献:J.S.ブラック他(1999)白木他訳『海外派遣とグローバルビジネス』